一般社団法人 先端技術産業戦略推進機構
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講演内容概要


[第121回研究会] 環境イノベーション部会研究会
パナソニックの環境経営

日  時: 平成21年11月4日(水) 午後2時-午後3時30分
会  場: 如水会館2階「ペガサス」(東京・竹橋)
講  演: 『パナソニックの環境経営』
岡原 邦明 氏 パナソニック株式会社 環境本部長

 近年の世界的規模での地球環境問題への取り組み、最近の資源・エネルギーの受給逼迫などを背景に、持続可能な社会の実現に向けた環境重視の技術革新(環境イノベーション)が、今後のイノベーションが向かうべき方向の一つとして位置づけられている。
 折しも鳩山新政権では、低炭素社会の実現に向け2020年までにCO2など温室効果ガスの排出量を「1990年比で25%削減する」との中期目標打ち出しており、目標達成手段として排出量取引制度などが言われているが、やはりわが国の得意分野である事業・産業活動での新たな環境イノベーションの創出による貢献と、それによる新産業の創出、すなわち競争力の源泉としての環境技術・経営についても議論されなければならない。
 当機構では、従来の環境共生部会を改組し、次世代の社会、地球、持続可能な社会の実現を念頭においた、「環境イノベーション部会」を発足させた。その第2回会合として、パナソニック株式会社 環境本部長 岡原邦明 氏を迎え、同社の低炭素社会に向けた取り組みも含めながら、企業の環境配慮への社会的要請と、その経営効果などについてお話を頂いた。

 パナソニックは、松下幸之助が1918年に家族3人で創業した会社で、家電や建築事業を含む、売上高7兆7655 億円(2009 年3 月末)の企業へ成長した。「企業は社会の公器である」という不変の経営理念に基づき、環境問題に積極的に取り組んでいる。
 その背景には、環境をめぐる社会背景と温暖化の現状がある。経済活動の拡大・人口の増加により、化石燃料・資源の大量消費や汚染物質・廃棄物の排出等が行われてきた。その結果、地球温暖化、資源枯渇、廃棄物の飽和状態等、持続不可能な社会になりつつある。特に緊急性が高いテーマは地球温暖化であり、温室効果ガスの濃度は、この100年で急激に増加した。日本においても、家庭のエネルギー消費は増加の一途をたどっている(うちエアコン、冷蔵庫、照明器具、テレビで約7割を占める)。
 このような状況を受け、欧州で先行していた環境規制が世界的な広がりを見せている。生産者の責任が拡大し(拡大生産者責任、排出者責任)、店頭で省エネ性能比較や、一部の国では省エネ性能の悪い製品は販売禁止の措置が取られるところも出てきた。日本の革新的なCO2削減計画や、アメリカのグリーンニューディール計画は世界各国へ反響を及ぼしている。
 企業でも環境経営が叫ばれる中、パナソニックでは中期経営計画であるGP3計画において、事業成長と同時に全ての事業活動で環境負荷を削減行うことにより、グローバルエクセレンスへの挑戦権獲得を目指している。この環境経営方針は2007年10月に「エコアイディア戦略」として発信し、@商品のエコアイディア、Aモノづくりのエコアイディア、Bひろげるエコアイディアの3つの取り組みとしてシンプルに表現している。
 @では、グリーンプロダクツ体系の中でも省エネNo.1商品を増やし、グローバルに展開。
Aでは、すべての生産プロセスからのCO2排出量削減を推進。CO2排出削減量を基幹の経営指標に掲げ、グローバル全製造拠点から排出されるCO2を月度で管理し、経営にフィードバックしている。生産性向上でCO2を削減し、省資源・廃棄物への取り組みも一層強化している。Bでは地域社会と共にエコを拡大し、国境を越えた取り組みに力を入れている。「地球を愛する市民活動」として、環境家計簿、エコバック、環境ボランティア等の基本活動に加え、地域ごとにテーマを掲げ活動を行っている。グローバル活動として「パナソニックエコリレー」を進める一方で、生物多様性保全の取り組みにも力を入れ、WWF北極圏プログラムのプロジェクト・サポーターとして取り組んでいる。
 本年度の新たなコンセプトとして発信したのがエコアイディアハウスである。これは、家まるごと「商品のエコアイディア」の集大成として2009年4月にオープンした。家電の全てを省エネ商品にし、加えて燃料電池+太陽光発電+蓄電池による創エネ・蓄エネにより、3年から5年後にCO2排出量実質ゼロのくらし実現を目指すものである。また、この住宅には、日本古来の智恵が活かされており、自然の恵みをうまく活用することにより、機器の能力に頼り過ぎず、エネルギー消費を抑えた、エコでありながら同時に「とても心地の良いくらし」を実現させている。オープン半年後には来館者が2万人を超え、全体の約95%がコンセプトに共感を示している。
 家電製品、オフィス機器、設備機器などの「省エネ商品」、燃料電池、太陽光発電の「創エネ事業」、民生用、業務用、車載用などの二次電池の「畜エネ事業」、そしてそれらを家まるごと、ビル丸ごとトータルに管理する「エネルギーマネジメント」でつなぎ、かしこ
くコントロールすることで、CO2排出量を大幅に削減し、よりエコで快適な暮らしを提供する。一歩先のエコを目指す企業の提案が、地球環境を守る鍵を握っているのではないだろうか。