一般社団法人 先端技術産業戦略推進機構
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講演内容概要


[第123回研究会] 自治・地域振興部会研究会
平成の大合併の検証

日  時: 平成21年12月11日(金) 午後2時-午後3時30分
会  場: 如水会館2階「ペガサス」(東京・竹橋)
講  演: 『平成の大合併の検証』
田谷  聡 氏
総務省 自治行政局 合併推進課長

 地方分権改革の推進、少子高齢化の進展と人口構造の転換、行政改革の推進など、地域の活力維持・増進の目的から、旧合併特例法による各種の行財政上の特例措置などをバネに、市町村の数は99年以降10年間で6割弱まで減少、いわゆる「平成の大合併」と呼ばれる自治体合併が各地で進められた。本年6月に取りまとめられた地方制度調査会の答申では、今年度末までに全国的な合併推進運動を一区切りするとしており、この間の様々な社会的影響を考慮した検証の段階に入っている。
 当機構では、“開かれた自治・地域社会”を目ざし、魅力・活力ある地域社会づくり、地方自治のあり方を考えるべく「地域振興部会(部会長:小室裕一 当機構理事、財団法人 地方自治情報センター 理事長)」を設置している。
 今回の研究会では、総務省 自治行政局 合併推進課 課長 田谷聡氏をお招きして、過去10年間の合併の動きとその社会的影響を振り返りながら、今後の地方分権の推進にあたっての課題と将来ビジョンを中心にお話いただいた。

市町村合併の進展状況
 現在の市町村合併の進展状況を概説すると、平成10年度末に3,232あった市町村が平成21年度末までに1,742に減少する。その減少数は1,490に達し、各市町村の人口と面積は全国平均で2倍弱に増加する見込みである。また、都道府県別合併の進捗状況については、全国における市町村数の減少率は46.1%になり、長崎、広島、新潟、愛媛では7割を超え、全国の人口1万人未満の市町村は7割減少することになる。

今後の合併方針
 本年6月に開かれた第29次地方制度調査会において、市町村合併を含めた基礎自治体のあり方が検討され、平成11年以来の全国的な合併推進運動については、現行合併特例法の期限である平成22年3月末までで一区切りすることが決まった。今後は、市町村合併による行財政基盤の強化のほか、共同処理方式による周辺市町村間での広域連携や都道府県による補完などの多様な選択肢を用意した上で、それぞれの市町村が、これらの中から最も適した仕組みを自ら選択できるようにする。また、現行合併特例法期限後においても、自らの判断により合併を進めようとする市町村を対象とした合併に係る特例法が必要とされた。
 なお、合併に至らなかった1万人未満の市町村は全国で416あるが、その主な理由としては、「合併について意見集約ができなかった」、「合併せずに単独で運営していこうと考えた」、「当団体としては合併を望んだが、合併相手が、当団体との合併に消極的・否定的であった」などが挙げられる。

市町村合併の歴史とその背景
 平成11年度よりはじまった市町村合併は平成16年度と平成17年の2年間に集中しており、それぞれ215件と325件であった。明治、昭和を含めた3度の大合併はその背景や内容に違いがあり、明治に関しては近代的な
自治制度確立のために町村合併を推進し、当時7万を超えていた町村が約1万5千にまで減少した。また、昭和では事務や権限を可能な限り住民に身近なものとするために合併を推進した結果3,472にまで減少した。平成においては、「地方分権の推進」、「少子高齢化の進展」、「広域的な行政需要が増大」、「行政改革の推進」といった背景において合併を進めるため、特例法の改正により行財政上の特例措置が拡充され合併が推進された。

市町村合併の効果とデメリット
 市町村合併による主要な効果としては、住民の利便性が向上し、効率的なまちづくりが可能となり、サービスの高度化・多様化、さらに行財政の効率化が挙げられる。例えば、一団体あたりの人口規模が大きくなったことで、栄養士や保険師などの専門職員の配置が充実した。
 その一方で、合併によるデメリットも指摘されており、代表的なものとしては「役場が遠くなって不便になるのではないか」、「住民の声が届きにくくならないか」、「中心部だけよくなって周辺部はさびれないか」、「各地域の歴史、文化、伝統等が失われないか」といった懸念が出されている。これに対しては様々な対応策が講じられており、例えば、市町村内の各地域をケアし活性化するための自治組織を設けたり、祭りやイベントの振興施策が実施されたりしている。
 住民サービス低下への懸念とは逆に、合併した約8割の団体が合併を契機に新しい市町村内の住民サービスを見直し、広域化させることで、利用できる公共施設等の拡大やICTの活用やサービス窓口の維持・拡充等において合併以前よりも充実したサービスを提供している。さらに、上下水道や一般破棄物処理、公共施設の料金等では、広域化と効率化により住民負担が軽減されており、合併の効果が現れている。