一般社団法人 先端技術産業戦略推進機構
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講演内容概要


[第124回研究会] 社会インフラ部会研究会
東京の都市づくりの取組について

日  時: 平成22年2月9日(火) 午後2時-午後3時30分
会  場: TKP大手町カンファレンスセンター「EASTカンファレンスルーム2」(東京・大手町)
講  演: 『東京の都市づくりの取組について』
河島  均 氏
東京都 都市整備局長

 日本経済の活力を取り戻すには、都市の活力を取り戻すことが重要であるといわれ久しくなっている。近時の厳しい経済状況下、都市開発の方向性について改めて検討の必要が議論されている。特に、刻々と変わる東アジアの経済社会にあって、首都東京の国際的地位の向上が、日本経済の着実な成長にとって欠かすことのできない重要課題であるとの認識は衆目の一致するところである。
当機構では、2002 年以来「3300 万首都圏の再生」への取り組みに関して様々な視点から調査研究を展開、その結果を研究会、シンポジウムの機会を通じて皆様に議論いただき、それらを受けて、首都圏の都市ビジョンの方向性を中心とする政策提言を展開してきた。
昨今の状況の変化に対処し得る首都圏域整備のあり方を検討し、その方向性を探ることが喫緊の課題として議論される中、首都圏再生の中心に位置する東京都の都市整備の方向について、東京都都市整備局長の 河島均 氏をお招きして、「東京の都市づくりの取組について」と題するご講演をいただいた。

1.東京の都市づくり
 東京の都市づくりビジョン策定前の都市づくりは、首都圏への一極集中問題を解決するために、機能分散型の都市構造を実現することで過度の都心への業務集中を抑制することを目的としていた。しかし、人口減少、環境保全、国際競争力などといった時代の変化を踏まえ、平成13年に策定したビジョンにおいて、連携や集積を生かした、多機能集約型都市構造の実現を目指すことになった。
 具体的には、圏央道、外環道、中央環状線によって首都圏を結び、効率的で効果的な連携を可能とする環状メガロポリス構造の構築に加え、都県境の堺を越えて大都市圏で連携をとりながら、東京都の位置付けを明確にし、都内を5つの地域ゾーンに分けて重点的に取り組むべき戦略を明らかにし、各地域の特性を発揮できる都市づくりを展開する。
 ビジョン策定時の目標は国際競争力に重点を置いたものであったが、現在、世界が直面する環境問題が注目されるなかで、経済の発展も重視しながら、環境先進都市としての役割も重要となる。東京では2008年に気候変動東京会議を開き、国際的な大都市の取組みを先導する役割を担っている。近年、東京においてもヒートアイランド現象の深刻化や集中豪雨の激化など、気候変動の影響が無視できない状況であり、適切に対応していく必要がある。
 東京都の環境分野のプロジェクトとしては、2020年までに、東京の温室効果ガス排出量を2000年比で25%削減する「カーボンマイナス東京10年プロジェクト」、2016年に向けて新たに1000ヘクタールの緑を創出し、街路樹を100万本に倍増する「緑の東京10年プロジェクト」がある。東京の都市づくりの目標を、経済活力はもとより、生活の豊かさや潤いという価値観を重要視し「世界の範となる魅力とにぎわいを備えた環境先進都市東京の創出」としている。

2.都市づくりに向けた具体的な取組み
 上の目標に基づいた具体的な取組みについて紹介すると、先ほどの三環状道路に加え、羽田空港の再拡張・国際化、東京港・川崎港・横浜港の京浜三港連携など、広域的インフラ整備を行うことで、経済や環境に配慮した都市構造を実現させていく。
 地域ゾーンにおける戦略については、一つは都心部に設定されたセンター・コア再生ゾーンを設け、環境と経済活力が両立する都市形成を目指している。具体的な取組みを「A環境、Bみどり、C景観、Dその他」に分類すると、Aについては風の道構想などを含む品川・田町駅周辺の再開発があり、Bは六本木地区の再開発による緑の増加、Cは東京駅丸の内駅舎の歴史的景観の復元などがある。こうした開発を誘導する仕組みとしては、緑化の量などにより容積率等の規制緩和を行う、都市開発諸制度を運用している。
 核都市広域連携ゾーンでは、環状方向の繋がりをより強化し、各拠点を整備することでコンパクトな都市構造をつくることを目標としている。核都市を中核とする諸機能の集積に合わせ、自然環境の維持・再生を図る戦略を立てており、具体的なまちづくりの取組み事例としては、武蔵小金井駅の再開発や中央線の連続立体交差事業、民設公園の設置、調布保谷線の緑化、多摩シリコンバレー形成、横田基地の軍民共用化などが挙げられる。

3.「10年後の東京」への実行プログラム2010における新たな取組み
 最後に「10年後の東京」への実行プログラムに掲載されている、都市づくりに関する特色のある取組みを紹介する。「緑確保の総合的な方針」に基づき、戦略的に緑を保全、歴史と現代が織りなす魅力ある東京の景観を形成、羽田空港の空港機能強化とアクセスの向上、防災上重要な建築物の耐震化の促進、高齢者の新たなすまい「東京モデル」の整備、隅田川を中心とする「水の都」による東京の再生などの取り組みを行う。